マーケティング 2012 3 4

 先週は、日本の半導体産業を象徴するエルピーダメモリが、
倒産(会社更生法の適用を申請)したことが、
大きなニュースとなりました。
 私は、日本の半導体産業について、
「マーケティング 2010 2 28」で、
「日本『半導体』敗戦」という本を取り上げています。
 この本の著者によると、
「日本の半導体産業は、
過剰技術、過剰品質、過剰性能という病にかかっている」と書いています。
 顧客が求めているものは何か。
世界最高の技術か、それとも世界で最も安い価格か。
 技術者というものは、顧客が求めていなくても、
世界最高の技術を投入した世界最高の製品を作りたいでしょう。
それが、技術者の生きがいとなるからです。
 さて、アップルの人気製品は、
分解してみればわかることですが、
世界最高の技術は何も投入されていないと言ってもよいでしょう。
そこに入っているものは、顧客が求めているものです。
アップルの技術者たちは、顧客が何を求めているか、常に考えているでしょう。

マーケティング 2010 2 28

書名 日本「半導体」敗戦
著者 湯之上 隆  光文社ペーパーバックス

 かつて、日本の半導体産業は世界市場で5割以上のシェアを獲得し、
自動車産業と並ぶ日本の基幹産業だった。
 しかし、現在、日本の半導体産業は、
エルピーダメモリ1社を残してDRAMから撤退した。
そのエルピーダメモリも、2009年6月、産業再生法の認定を受け、
公的資金の注入が決まった。
1980年代半ばに世界を制した技術と品質は、
いまや不況のたびに膨大な赤字を生み出す元凶と化した。
(以上、この本の紹介文から)
 なぜ、こんなことになってしまったのか。
著者は、こう指摘します。
「日本の半導体産業は、過剰技術、過剰品質、過剰性能という病にかかっている」。
 経済に国境がない現代において、あるいは国際競争の中では、
世界最高の技術で世界最高の製品を作っても、価格は普及品と同じになります。
これでは、好景気の時も赤字、不況の時は公的資金の注入となります。
 パソコン向けのDRAMを25年保証のレベルで生産したら、どうなるか。
そもそも、パソコンは、25年も使い続けるものなのか。
普通、パソコンは、5年で買い替え、早い人で3年で買い替えをするでしょう。
だから、パソコン向けのDRAMは、5年保証レベルで十分でしょう。
 日本の半導体産業に欠けているものは、何か。
それは、マーケティングでしょう。






























































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